なんで私が公務員になったか、そんなお話
さて、約4年間勤務していた東京都を辞めた私ですが、そもそもなんで公務員の建築職になったのでしょうか。そんな話をします。
学生時代の私
中学3年生の春
これまで住んでいたマンションから、一戸建てに引っ越したよ。新しい自宅は、部屋の配置から壁紙の色まで家族の希望を取り入れて作った注文住宅。なんと私も部屋の間取りを一緒に考えたんだよ。数カ月前まで平面図で見ていたものが実際に家になったときは、なんだか不思議な感じだった。
超豪華なわけでもないし、とびぬけた特徴があるわけでもないけれど、私はこの家が大好きなんだ。家ができあがったときは私もすごく嬉しかったし、お父さんもお母さんもすごく嬉しそうだった。
私は幼いころから工作とか手芸とか、ものをつくるのが好きだし、「建築」という形でものをつくる仕事っていいな。
大学生時代
大学で建築を学んでいるけど、やっぱり私は将来、自分の見える範囲で、使う人に喜ばれるものづくりがしたいな。将来は、大きなビルではなく、小さいけど使う人それぞれに寄り添える住宅の仕事がしたいな。
大学時代 就職活動開始
色んなハウスメーカーの就職説明会に行ってきたけど、うーん、何か違う気がする・・・・。
A社は、お客さんのところで話を聞いてプランを考えるのは営業、建築担当は営業がとってきた案件の図面を起こすっている完全分業制なんだって。
B社とかC社は、ほとんど基本の仕様が決まっていて、条件によってそれらを組み合わせるくらいなんだって。D社も何だかぴんと来ないし。
あれ・・・・これは私がやりたいことなのかな?
そういえば、公務員という選択肢もある。
私は小学生くらいの頃から、自分で稼いで生きていく人間になりたかったんだ。公務員って、身分が保障されてて女性でも働き続けられる職場だから、女性には良いって母親が言っていた。父方の叔母も、母方の叔母も子供を二人育てながら共働きしているし、確かに公務員なら女性でも働き続けられるんだ。
このあいだ、先生からも公務員に向いていそうと言われたな。前にも何度か言われたことあるし。私、昔からコツコツ頑張るのは得意だから、確かに私に向いているのかも。公務員を選択肢に入れようかな。
1月26日
E社落ちた。地元ではよく見かけるハウスメーカーE社。そんなに大手なわけでもないし、こんなに早く終わるとは思っていなかった。3対1の集団面接、しかも10分15分くらいのあんな面接であっけなく落とすんだ。「答えられる人から手をあげて答えてください」って・・・。大喜利かよ。頭の回転が速くて口がうまい人がほしいの?
2月28日
エネルギー系のF社、このあいだ受けたSPI。わからない問題だらけだし、時間も全く足りないし、手も足も出ないって感じだった。あたりまえのように落ちた。
3月6日
ここなら私のやりたい住宅設計できるかも。そう思ってエントリーしたハウスメーカーG社。今日が四次面接だったよ。例年の情報からすると、これが最終面接だ。面接官との話もすごく好感触だったし、これでようやく内定もらえるかも、、、よかった。
3月13日
G社からの連絡が来ない。三次面接までは数日以内に連絡がきたのに、今回は一週間たったけど返事が来ない。まさか、落ちたのかな。面接あんなによかったのに・・?
3月14日
不安で不安でG社採用試験の2chを覗いてしまった。・・・あ・・・受かった人にはもう合格通知きてるんだ。ってことは・・・私は・・・ダメだったんだ・・・・。
ダメだ・・・。私、もう就活できない・・・・・。
3月15日
民間の就活を辞めて、公務員試験にしぼることにした。
私は要領が悪いから、民間企業のESや面接シート1つ1つに時間をかけてしまう。このまま民間の就活も続けていたら、公務員試験の勉強に時間を使えなくて、民間も公務員も共倒れだよきっと。
中学校時代は音楽以外オール5、高校時代は内申点学年一位を取って指定校推薦で大学進学したような私。こつこつ勉強するのは得意だ。公務員なら頑張って勉強すれば私でも合格できるはず!
さて、復習してみましょう
中学3年生の春
これまで住んでいたマンションから、一戸建てに引っ越したよ。新しい自宅は、部屋の配置から壁紙の色まで家族の希望を取り入れて作った注文住宅。なんと私も部屋の間取りを一緒に考えたんだよ。数カ月前まで平面図で見ていたものが実際に家になったときは、なんだか不思議な感じだった。
超豪華なわけでもないし、とびぬけた特徴があるわけでもないけれど、私はこの家が大好きなんだ。家ができあがったときは私もすごく嬉しかったし、お父さんもお母さんもすごく嬉しそうだった。
私は幼いころから工作とか手芸とか、ものをつくるのが好きだし、「建築」という形でものをつくる仕事っていいな。
大学生時代
大学で建築を学んでいるけど、やっぱり私は将来、自分の見える範囲で、使う人に喜ばれるものづくりがしたいな。将来は、大きなビルではなく、小さいけど使う人それぞれに寄り添える住宅の仕事がしたいな。
大学時代 就職活動開始
色んなハウスメーカーの就職説明会に行ってきたけど、うーん、何か違う気がする・・・・。
A社は、お客さんのところで話を聞いてプランを考えるのは営業、建築担当は営業がとってきた案件の図面を起こすっている完全分業制なんだって。
B社とかC社は、ほとんど基本の仕様が決まっていて、条件によってそれらを組み合わせるくらいなんだって。D社も何だかぴんと来ないし。
あれ・・・・これは私がやりたいことなのかな?
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まず、名前の聞いたことあるハウスメーカーしか見ていないってことがバカだね。大手志望なの?
「自分の見える範囲で」ってむしろ小さい会社の方が分業分業にならないから合ってるじゃん。中小企業でおもしろいことやっている人はたっくさんいるよ。ちょっと調べればわかるのに、なんでそっちに目を向けないの?視野が狭すぎるんだよ。
そういえば、公務員という選択肢もある。
私は小学生くらいの頃から、自分で稼いで生きていく人間になりたかったんだ。公務員って、身分が保障されてて女性でも働き続けられる職場だから、女性には良いって母親が言っていた。父方の叔母も、母方の叔母も子供を二人育てながら共働きしているし、確かに公務員なら女性でも働き続けられるんだ。
ん?仕事内容より、働き続けることが重要なの?よく考えてみてよ~!あなたはやりたいことしたい人間でしょ。子供育てしながらっていうけど、あなた、別に結婚願望ほぼないし(結婚できそうな見込みもないし)、子供ほしいとも思ったことないでしょ。来るか来ないかわからないもののために、やりたいことから目を背けるの?
このあいだ、研究室の先生からも公務員に向いていそうと言われたな。前にも何度か言われたことあるし。私、昔からコツコツ頑張るのは得意だから、確かに私に向いているのかも。公務員を選択肢に入れようかな。
おいおい、そもそもどんな仕事かもよくわかってないのに、「公務員=コツコツ」みたいなイメージだけで就職先を選んでいるのか君は。もっと自分がどうなりたいか、何がしたいかイメージしてみなよ!
しかも「周りに言われたから」って、流されすぎでしょう。自分の人生ぐらい自分で決めようや。
1月26日
E社落ちた。地元ではよく見かけるハウスメーカーE社、そんなに大手なわけでもないし、こんなに早く終わるとは思っていなかった。3対1の集団面接、しかも10分15分くらいのあんな面接であっけなく落とすんだ。「答えられる人から手をあげて答えてください」って・・・。大喜利かよ。頭の回転が速くて口がうまい人がほしいの?
うん、これはしょうがないかもね。その会社に向いてないのよあなた。やっぱり相性ってあるだろうからね。落ちて正解!っていうか、「そんな大手なわけでもない」ってなめてたんでしょ。その気持ちが見透かされていたのかもよ。
2月28日
エネルギー系のF社、このあいだ受けたSPI。わからない問題だらけだし、時間も全く足りないし、手も足も出ないって感じだった。あたりまえのように落ちた。
ええ!いつのまにかエネルギー系にも手を出し始めたんだね。何をしたいって言ってたっけ?ぶれぶれじゃないっすか。完全に世の中の就活の雰囲気に飲み込まれている。目を覚ましてくれ。
3月6日
ここなら私のやりたい住宅設計できるかも。そう思ってエントリーしたハウスメーカーG社。今日が四次面接だったよ。例年の情報からすると、これが最終面接だ。面接官との話もすごく好感触だったし、これでようやく内定もらえるかも、、、よかった。
3月13日
G社からの連絡が来ない。三次面接までは数日以内に連絡がきたのに、今回は一週間たったけど返事が来ない。まさか、落ちたのかな。面接あんなによかったのに・・?
3月14日
不安で不安でG社採用試験の2chを覗いてしまった。・・・あ・・・受かった人にはもう合格通知きてるんだ。ってことは・・・私は・・・ダメだったんだ・・・・。
ダメだ・・・。私、もう就活できない・・・・・。
あああ・・・ついに2chにまで手を出してしまったのだね。でも会社なんて山ほどあるんだし、そこまで思いつめることないよ。「こんな私を落とすなんて、こっちから願い下げだぁ!」って気持ちで、次に行こうよ。
3月15日
民間の就活を辞めて、公務員試験にしぼることにした。
私は要領が悪いから、民間企業のESや面接シート1つ1つに時間をかけてしまう。このまま民間の就活も続けていたら、公務員試験の勉強に時間を使えなくて、民間も公務員も共倒れだよきっと。
中学校時代は音楽以外オール5、高校時代は内申点学年一位を取って指定校推薦で大学進学したような私。こつこつ勉強するのは得意だ。公務員なら頑張って勉強すれば私でも合格できるはず!
はい、この時点であなたの就活は完全に「これがしたい」ではなく「どこでも良いから受かりたい」になっていますね。就活って怖いね。見えない大きな波のようなもので、これに乗らないと人生終わりなんじゃないかという感覚に襲われるんだよね。そんな見えない何かによって、君、元々狭い視野がさらにクソ狭くなっているよ。この選択によって、数年後あなたはもがき苦しむことになるよ。いいの?
就活時期のバカな自分に思いっきり突っ込んでみました。
これでわかるように、私が公務員を選んだ一番の理由は「どこでも良いから受かりたかった。」これです。就活でぼこぼこ簡単に落とされて、自分が否定されているように感じ、どうすれば良いかわからなくなった私には、勉強して点数さえとれば受かる公務員が唯一の希望の光に見えたのです。
しかし、そこに入って何がしたいかは、全くと言って良いほど考えていませんでした。
ただただ自分の力で何かしらの内定をもらって、ちゃんと社会人になりたい。
それだけを考えていました。いや、それだけしか考えていませんでした。
だから、公務員の人たちが具体的にどんな風に働いているかとか、建築職にはどんな仕事があるかとか、真剣に調べていませんでした。
先輩に都庁に勤めている人がいたから、どんな仕事をしているかとか聞きにいったけど、それはあくまで面接対策の材料でしかなくて、話聞きながらも「面接シートに何書くか」、「面接でこう聞かれたらこう答えよう」みたいな、テスト前に勉強のための勉強をする学生みたいなことを就活でもしていたのです。
私が公務員になってから、もちろんこのツケが回ってくるわけです。
それは、また別の機会にお話ししますね。
今の仕事にもやもやしているあなた、こんな感じで就活生の自分を振り返ってみると、今すべきことが見えてくるかもしれませんよ。